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産後パパとは?「男性の育休」についての改正点やメリット・デメリット、現状等をご紹介!

公開:2022年8月17日
更新:2022年8月17日

現在、働く「男性の育休」が普及し、男性社員の育児休業の取得向上に積極的に取り組む企業が増えています。
2022年4月には男性育休の取得が義務化され、新たに2022年10月からは産後パパ育休」が開始予定となっており、内容がより充実します。
一方で制度の充実ばかりが先走りしてしまい、実際の取得率が伴わない、取得しても期間が短く、質の低い休業になりかねないなど様々な懸念や課題が出てきています。
当記事では2022年10月に改正される男性の育児休業の「具体的な改正点や手当について」や、男性の育児休業によって考えられる「企業側および取得者側のメリット・デメリット」、日本と比べて男性の育児休業の取得が進んでいる「世界の男性育休について」等をご紹介します。
今後、制度の充実により、更に普及すると予想される男性の育児休業を企業側としても上手く活用していく為の参考になれば幸いです。

目次

産後パパとは

“誰もが育児休業を取得しやすい環境”を目指し、2021年に育児・介護休業法が改正されました。
しかし日本では男性の育児休業の取得率は低いため、それを改善するために新設されたのが「産後パパ育休(出生時育児休業)」になります。
「産後パパ育休」が取得できるのは、女性が産後休業中の時期に当たることから、一般的に「男性版産休」とも呼ばれています。

現行からの改正点

  • 育児休業の分割取得が可能

子どもが1歳の誕生日を迎えるまで取得できる育児休業が父母ともに2回まで分割が可能になりました。(※育児休業を取得する前に予め勤務先へ申請が必要になります)

  • 育児休暇開始日を柔軟化

現行では取得開始時期は子供が1歳または1歳6ヶ月の時点に限り、1歳以降~2歳まで育児休業を延長できましたが、改正により1歳以降の育児休業の延長開始時点が柔軟化されました。
期間の途中で配偶者と交代して育児休業を開始できるようになる観点から、配偶者の休業終了予定日の翌日以前の日を本人の育児休業開始日とできるようになりました。

  • 特別な事情がある場合に限り再取得可能

子供が1歳以降の育児休業は他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児休業を取得できます。

給付金や社会保険料等の手当に関して

給付金

【支給額】休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から6ヶ月まで)
【受給資格】
1.育児休業開始前2年間に雇用保険被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
2.有期雇用労働者は、休業開始時に同一事業主の下で1年以上雇用継続されており、かつ、子が1歳6ヶ月までの間に労働契約が満了することが明らかでないこと

社会保険料の手当

  • 月給→育児休業を14日以上取得した月が保険料の免除期間に含まれるようになります。
  • 賞与→賞与および期末手当の保険料についても免除が受けられますが、対象は当該賞与月の末日を含む連続した1ヶ月を超える育児休業を取得した場合に限ります。

夫婦の育休同時取得(パパ・ママ育休プラス)について

では夫婦が育児休業を同時取得するとどうなるでしょうか。
パパ・ママ育休プラス」という育児休業の期間を延長できる制度があります。
以下の図のように子どもが1歳未満の時しか取得ができない育児休暇を2カ月間延長できる制度です。

引用:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう」

「パパ・ママ育休プラス」取得条件は?

  • 夫婦同時に育児休業を取得すること(※夫婦どちらかが専業主婦(夫)の場合は申請不可)
  • 配偶者が子どもの1歳の誕生日前日までに育児休業を取得していること
  • 子どもの1歳の誕生日前に育児休業開始予定日が設定してあること
  • パパ・ママ育休プラス取得者の育児休業開始予定日が、配偶者の取得した育児休業開始の初日以降になっていること

「パパ・ママ育休プラス」は従業員が自由な意思で利用できる制度であるため従業員が「パパ・ママ育休プラス」を申請した場合、雇用側はこれを拒むことは原則としてできないため従業員の利用に備えて事前に企業側の対応が必要不可欠となってきます。
いざ、男性社員が育児休業を申し出た際に、企業側がきちんとした対応を取ることで従業員も安心して取得することができます。

男性の育休で考えられるメリットとデメリット

男性の育休取得により考えられるメリットとデメリットを企業側と取得者側それぞれの立場に分けてご紹介いたします!

企業側、取得者側それぞれのメリット

企業側のメリット

  • 助成金による金銭的な援助

「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」
男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業等を取得した男性労働者が生じた事業主に助成する援助金が与えられます。

  • 企業イメージのUP

子育てサポート企業の証である「くるみん」「イクメン企業アワード」等といった国や地方公共団体の公的な認定制度のマーク所得や表彰へ応募することで社外からの評価が高まり、人材の確保や定着が期待されます。

取得者側のメリット

  • 妻のキャリア形成への影響

夫が育児に参加することで妻の負担が減り、妻が復職を早めることができます。

  • 生産性の向上

育児休業を長く取れる組織ほど、男性社員の帰属意識や仕事へのモチベーションが高まるというデータも出ています。
(※参考資料:厚生労働省「仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」

  • 子どもと過ごす時間が増えることへの喜び

子どもの育児に参加することで、子どもと過ごす時間が増え、子どもの成長を感じたり、子育ての喜びや大変さを享受できたりします。

企業側、取得者側それぞれのデメリット

企業側のデメリット

  • 取得者以外の業務負担による社内での不満

子どもがいない社員が制度を不公平に感じたり、育児休業期間の他社社員への業務負担への不満が出てきたりする可能性がある。

  • 名ばかりの制度になってしまいかねない

男性の育児休業の制度や仕組みを作ったとしても、社員へのフォローや職場内の理解といった風土情勢までに時間がかかり、運用までの負担が大きい。

取得者側のデメリット

  • ハラスメントの懸念

他の社員の業務量が増えることで、職場の上司や同僚からのパタハラ(パタニティー・ハラスメント)を受ける可能性がある。

  • 収入の減少

家族が増えるため支出が増えるのに対し、家計全体の収入が減る。

  • 育児休業後の出世への不安

休業期間を設ける事による、業務への遅れや出世への影響等の不安。

産後パパ制度の施行に向けて企業が具体的に取り組むこと

  • 取得し易い職場の風土醸成

育児休業を取得できることやその意義を1人1人の社員に伝えることや、外注等を検討し他社員の業務負担が増えないような仕組みを作ることなど企業側がまずは積極的に行動することで、制度に対しての理解や意欲を改善する。

  • 復職後のサポート体制を整える

人事部および直属の上司と、育児休業後に仕事と育児が問題なく両立出来ているかどうかや復帰後の不安や悩みについて現状を確認する面談を定期的に実施し、取得時の不安や悩みを相談できる機会を作り、会社側として出来るサポートを行う。

  • 人事システムの整備

偶者の妊娠にまつわる申告・届出を用意する等、社員の配偶者の妊娠等の報告&確認を徹底することで、人事側でそれを把握し、直接対象者に対して育児休業制度の取得促進に向けた動きが取れる。

  • 管理職の意識改革をする

まずは管理職(マネージメント層)に対して男性の育児休業に関して取得する大切さ等を発信し理解を高める必要がある。
育児休業を必要とする社員の年齢層は20~30代が多い予想されるため会社での立場上、上司の目や出世への影響が懸念され取りづらいため、、まずは管理職層への意識改革や理解への取り組みが重要となる。

男性の育休の現状

取得率

2021年度の男性の育休取得率は13.97%で過去最高となりました。
2019年度の7.48、そして2020年度の12・65%と比較すると増加したと言えますが、政府の目標である
2025年で30%所得には半分にも達していないのが男性の育児休業の実態です。
そして以下の図の通り、2020年度までの女性の育児休業取得率(81.6%)と比較すると大きく差がひらいています。
また育休取得率自体は伸びているものの、取得期間に関しても女性と比較するとかなり短いことが分かります。
具体的には2018年の育休取得期間は女性では1年前後が約6割を占めますが、男性は2週間未満が71.4%、5日未満が36.3%を占め、大半が1ヶ月も満たない取得期間であるのが現状です。

引用:厚生労働省の雇用均等基本調査よりハフポスト日本版が作成

世界の男性育休取得率と推進方法

以下の表をご覧ください。
実は、他の国と比べると日本における男性の育児休業の制度は手厚いと言われています。

引用:ユニセフ「先進国における家族にやさしい制作ランキング」

上記のように【国連児童基金:ユニセフ】の報告書よると、日本は「父親に6カ月以上の(全額支給換算)有給育児休業期間を設けた制度を整備している唯一の国」なのです。
つまり、男性を対象とする育休の期間は41カ国中で最も長いと言われています。
しかし、日本は他国と比べて制度自体は整っていても実際の取得率や取得期間は他国と比較しても圧倒的に低いのが現状です。
そんな中で日本の取得希望者は8割を超えているため、希望はあっても実際の制度利用は進んでいない状況であることが分かります。

企業側および取得者側共に懸念が多くあるため、少しでも削減できる方法や取り組みが大事となってきます。
では世界の男性の育児休業取得率が高い国は取得推進にあたり、一体どのような取り組みが行われていたのでしょうか?

男性の育児休業取得率が高い国~取得率上昇のためにとった方法も紹介~

ノルウェー

現在では福祉先進国と呼ばれるノルウェーは1993年までは男性の育児休暇取得率はわずか5%程度から2012年以降に男女ともに90%を超えています。
その大きな変化のきっかけとなったのが「パパ・クオータ制度」と言われています。
これは育児休暇の一定期間をパパに割り当てる制度で、もし父親が育児休暇を取らなければ休暇や給付金をもらう権利が消滅してしまうというものです。
これにより、多くの父親が育児休暇を取得するようになりました。
このとき支給される給付金は、給料の80~100%です。
高い給付金を得られるため、育児休暇中の経済的負担が少なくなったことも、取得率を押し上げた理由の1つと言えます。

スウェーデン

「パパ・クオータ制度」をノルウェーで導入後、スウェーデンでも同様の制度が「パパ・ママ・クオータ制度」として導入されました。
その効果により現在スウェーデンの男性の育児休暇取得率は90%近いです。
また育児休暇は両親併せて480日間で、それぞれに90日間は割り当てられ、残りは半分ずつ取得することが推奨されています。

ドイツ

ドイツでは2006年に3.3%だった男性の育児休業取得率が数年で10%台まで上昇し、2016年には34.2%まで伸びました。
きっかけは育児休業中の給付金制度「両親手当:Elterngeld」の新設と言われています。
「両親手当」は、片方の親だけが受給する場合は最大12カ月間支給されます。
もう一方の親も受給する場合はさらに2カ月延長され、最大14カ月間支給されます。
追加の2カ月分は「パートナー月」と呼ばれ、もう1人の親が育児休業を取得しなければ受給権は消滅してしまいます。
こういった「両親手当」により、育児休業中でも給料の67%の給付金を受け取ることができるようになり父親が子育てのために仕事を休んだとしてもその期間に手当が出るため、生活に対する不安は少なくなります。
それに加え、ドイツはもともと有給休暇の取得率がとても高い国であるため社会全体で休暇をとりやすい環境であることも、大きく関係していると考えられます。

フィンランド

現在、出産直後の約3週間に育休を取る父親は8割で母親が仕事復帰したタイミングでさらに残りを取る父親は約5割で、その間は保育園に預けず父親が単独で最長約2カ月、子どもを見ていると言われています。
1970年代に男性育休の制度ができたものの、取得率はなかなか上がりませんでしたが、1998年に当時の男性の首相が育休を取得したことが大きな転機となったと言われています。
非常にセンセーショナルな出来事として取り上げられ、そこから一気に育休を取得する男性が増えました。
やはり大臣や政治家、企業の管理職などが率先して取得する姿勢を見せたことが大きいかと思われます。

夫が育休取得をすることに対する妻の声

以下の図の通り8割以上の女性が男性の育児休業について取得するべきだと思っている事がわかります。
一方で取得の懸念点として却って家事育児をしない夫に不満を抱きストレスが溜まってしまうことや、夫の出世が遅れキャリアダウンしてしまうことへの不安等が挙げられています。

引用:仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』

→取るだけ育休にならないために…

上記の懸念が囁かれる中、実際に男性の育児休業が推進される一方で、質が伴っていない「取るだけ育休」が発生しており、育児休業の質が問題視されています。
実際に育児休業を取得した男性の3人に1人は家事・育児時間が1日2時間以下と言われており、このような状態が増えれば逆効果になってしまいかねません。

しかし、男性の育児休業を上手く活用できれば育児休業に対する満足度は高まり夫婦幸福度も向上し、男女が協力出来る環境を作ることも出来ます。
上手く活用するためにも男性の育児休業の“質”を高めるという課題も今後は更に重視されるでしょう。

引用:日本財団「変えよう、ママリと」

実際の取得者のリアルな声

育児や家事を妻と分担できたことが育児休業を取得して良かったことや、育児や家事を経験することで理解が深まり、子どもへの愛情が深まったこと等が上位に挙げられています。
一方で懸念点でもあった、収入減や職場の周囲への業務負担や引き継ぎ等の負担が実際の取得者の声にも困ったこととして多く挙げられています。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は男性の育児休業について紹介しました。
男性の育児休業は世界と比べるとまだまだ日本では取得率が低い状態ですが、今年10月から新しく制度が改正し、取得推進に向けての動きは確実に進んでいると言えます。
しかし、現状は取得しやすい職場環境作りや制度への納得感等が欠如しているため、それが懸念となり疑問や不安を抱えている人が多いことが課題となっています。

企業としては取得の前例を増やすためにも、まずは休業に入った際に他の社員の業務が減らせるような仕組みづくりや、社員1人1人への取得に向けた声掛け等、積極的に行動に移すことが求められます。

また海外の実例があるように国が率先して取得せざるを得ないような制度や仕組みづくりをしていくことも今後日本で男性の育児休業が実際に運用されるようになるか否かの大きな鍵になってくるかと思います。

女性の社会進出により共働きが大半を占める日本でも、仕事と家庭共に男女が協力し合える環境になれば良いかと思います。
弊社採用戦略研究所でも現在、男性社員が育児休業を取得しています!
男性も女性も家庭と上手く両立し、働けるような組織づくりを一緒にしていきましょう。

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