「裁量労働制」と「高度プロフェッショナル制度」
4月1日から、「働き方改革」が始まりましたが、その1つに「高度プロフェッショナル制度」があります。
一時期、Twitterでもトレンド入りしていた「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」。
当記事では、混同されやすい「裁量労働制」と比較しながら「高度プロフェッショナル制度」についてご説明します。
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目次
www.rs-lab.jp/20190412/_1">『裁量労働制』と『高度プロフェッショナル制度』
裁量労働制
裁量労働制とは「みなし労働時間制」のひとつで、「労働時間が労働者の裁量にゆだねられている労働契約」のこと。
例えば、労働裁量制で、みなし時間が8時間の契約を結んだとします。
そこで、
・Aさんは業務を6時間で終わらせた
・Bさんは業務を10時間で終わらせた
このような場合でも給与に反映される勤務時間は、契約したみなし時間の8時間、ということになります。
また、
・出退勤時間
・始業時間
・終業時間
・就業時間
が個人の裁量に任されているので、自由な働き方ができることも裁量労働制の特徴です。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度とは、年収が平均給与額の3倍以上の人を対象に、厚生労働省が定めた規定の条件を満たした労働者に対して、成果型労働制を導入するということ。
成果型労働制とは、業務時間外や、休日、深夜などの割増賃金の支払い義務を適用除外となり、新しい働き方といえます。
www.rs-lab.jp/20190412/_2">裁量労働制と高度プロフェッショナル制度の違い
違い(1)割増賃金の発生
裁量労働制
裁量労働制には時間外労働という概念がないため、時間外労働に対する割増賃金は発生しません。
しかしこれには例外があり、
・22時以降翌5時までの間に労働した場合
・法定休日に労働した場合
この場合は深夜手当・休日手当の割増賃金が支払われることになります。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は労働基準法が一切適用されません。
そのため深夜に作業をしたり休日に作業をしたとしても、その作業時間は給与に反映されないことになります。
一部では高度プロフェッショナル制度のことを「残業代ゼロ制度」「脱時間給制度」とも呼ばれています。
www.rs-lab.jp/20190412/_3">違い(2)対象者
裁量労働制
裁量労働制には年収要件は設けられておらず、対象業務に該当する会社が導入を許可されています。
専門業務型裁量労働制
・研究開発
・出版事業の取材や編集
・システムコンサルタント
・公認会計士や弁護士
・証券アナリストなど19業務
企画業務型裁量労働制
・自ら主体的に事業の運営に関する業務を行う労働者のみ
・本社、本店のような事業運営に関する決定権を持っている職場のみが対象
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は裁量労働制と違って、年収による対象要件があり、最低でも年収1,075万円を目安にした労働者に限って制度が適用されます。
対象労働者の職種や業種も、以下に限定されています。
・金融商品の開発業務
・ディーリング業務
・アナリストの業務(企業・市場などの高度な分析業務)
・コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)
・研究開発業務
www.rs-lab.jp/20190412/_4">導入するメリット
裁量労働制
裁量労働制のメリットは、以下のものが挙げられます。
・人件費を予測しやすい
・労務管理負担を軽減できる
・拘束時間の短縮
・自分のペースで仕事ができる
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度のメリットは、
・働き方の自由度が高い
・生産性の向上に期待できる
高度プロフェッショナル制度では、時間ではなく成果で給与が決まるのでモチベーションの向上にもつながり、生産性も上がることが期待できます。
これまでの労働基準法では、労働者を守る傾向が強い代わりに制限も多く、その制限が労働生産性を下げる要因だとされていました。
しかし、生産性が高い人や効率的に業務をこなそうとする人には労働基準法が合っていない可能性があり、多様な働き方が推奨されてきている中で高度プロフェッショナル制度が生まれました。
www.rs-lab.jp/20190412/_5">導入するデメリット
裁量労働制
裁量労働法には、
・たくさんの手続きが必要になるので、導入するまでに負担がかかる
・長時間労働常態化による過労が懸念される
・残業代が(基本的に)出ない
・不法適用被害
などのデメリットがあります。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度のデメリットとしては、以下のものがあります。
・残業が横行する可能性がある
・成果を評価する難しさ
高度プロフェッショナル制度を採用することで、残業という概念がなくなってしまい、与えられた業務をこなせなければ深夜まで作業が続いたとしても、残業代がつかず、サービス残業ということになってしまうのです。
こういった意見から、高度プロフェッショナル制度の見直しが行われました。
年間104日(4週間に最低4日)の休日を確保することや、退勤から次の出社まで一定のインターバルを設けるルールも盛り込まれ、2週間連続の休暇であったり、臨時の健康診断も取り決められています。
www.rs-lab.jp/20190412/_6">Twitterでの反応は…
Twitterでは多くの人がこの「高度プロフェッショナル制度」、「脱時間給制度」についてツイートしていました。
反対派
日経はいつまで不正確な報道をし続けるのか。「脱時間給」ではなく、単なる労働時間規制の適用除外制度に過ぎない。「成果で報酬」も高プロの要件ではない。いい加減にしろ、と言いたくなる(言わないけど)。:
生産性の視点欠く「脱時間給」の制度設計: 日本経済新聞 https://t.co/oAs50pc21d— ささきりょう (@ssk_ryo) 2019年1月11日
相変わらずのデマゴギー、お疲れ様です。
高プロは「脱時間給」じゃなくて、残業代ゼロ。
高プロ対象者の労働者が狭まっても、労働者保護には反しませんから、ご安心ください。
➡ https://t.co/uesFI8ByHC— 嶋﨑量(弁護士) (@shima_chikara) 2019年1月10日
賛成派
脱時間給は勤務時間や働く場所が自由になリ、実力がある人は裁量労働よりも柔軟に働くことができるという。
だが普通に読めば、労働時間の規制は適用しません、残業代は支払いませんと読める。人件費削減策の一つだ。
https://t.co/se6gh38x5D— 河原 淳 (@DHzNxunAT1P8ETT) 2019年4月2日
脱時間給と関係のない話かもしれないですが、所定労働時間という概念も脱却した方が効率化がよりよく進むかと思う。と、考えたら、成果主義の方が会社を経営する上ではいいんじゃないかと思えてくる。 #NewsPicks https://t.co/5g5UqdxaOd
— あつなり (@A28_Kaw) 2019年4月1日
www.rs-lab.jp/20190412/_7">高度プロフェッショナル制度の注意点
高度プロフェッショナル制度は、正しく運用されればメリットのある制度ですが、残業代がゼロになってしまうこと等、導入に際して様々な課題が残っている状態だと言えます。
また、対象者の年収が平均給与額の3倍を上回らなければならないこともあり、現段階では対象となる人は限られていますが、今後対象が引き下げられる可能性もあるのではないかと思います。
気をつけて頂きたいのは、今回4月からの働き方改革で施行された制度は、
×裁量労働制
○高度プロフェッショナル制度
であること!
裁量労働制と高度プロフェッショナル制度には似ている点も多くありますが、しっかりと違いを把握して対応して頂けたらなと思います!
以上、「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制の違い」についてお伝えしました。
ご不明点などあれば、文末の連絡先までお気軽にお問い合わせください。
以上、高田でした!
最後までご覧下さりありがとうございました。
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