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障害者雇用とは?企業のメリットや法律・助成金を解説

【更新】2022年01月26日
【公開】2019年09月24日

それぞれが個性を活かして働ける社会を実現するための取組の1つに「障害者雇用の促進」があります。
ダイバシティ―やSDGsが世界的に注目される中、日本でも障害者雇用に前向きな企業が増えています。

そこで当ブログでは、以下の悩みを抱える皆様に向けて「障害者を雇用するメリット」「募集方法」「障害者雇用に関するルールや法律」をご紹介していきます!

  • ・障害者を採用したいけど募集方法が分からない
  • ・今まで障害者を採用したことがないので不安
  • ・任せられる仕事が分からない

障害者手帳を持っている人の中には、業務に支障がない方や高いスキル・知識を持っている方もいます。
まずはそのことを知ってもらった上で、障害者雇用について丸ごと解説していきます!!

目次

障がい者雇用とは

障害者雇用とは、企業や自治体が障害のある方を「障害者雇用枠」で採用し、雇用することです。
国は、誰もが能力や適性を発揮しながら自立した生活を送れる社会の実現を目指すため障害者の雇用促進に力を入れています。
制度として「障害者の雇用の促進等に関する法律」が定められており、障害のある方も積極的に雇用するよう企業に呼び掛けています。

障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念の下、すべての事業者には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。

(引用元:厚生労働省発行リーフレット「令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引上げになります」

企業が、法律で決められた障害者の雇用人数を満たすとともに、障害のある方への差別をなくし1人1人が活躍できる職場を目指すことで、誰もが活躍できる社会に近付いていくのではないでしょうか。

障害者雇用と一般雇用の違い

障害のある方は、そうでない方と比べ就労の機会に就くのが難しいことが多いです。
そこで、障害者の雇用を促進する目的で、民間企業や公的機関には一般雇用とは別に障害者の雇用枠が設けられています。
その枠を使って障害者を採用することを、障害者雇用と言います。

障害者雇用として採用できるのは、原則として障害者手帳を持った人に限られています。
そのため障害者手帳を持っていない方は、一般枠で採用されます。

今の日本の法律では、就職する際その会社に障害の有無を告知する義務はありません。
そのため障害者として応募するのか、一般枠に応募するのかは本人の判断となります。

障害者雇用の対象となる人

厚生労働省のホームページには、障害者雇用の対象者について下記のように記載されています。

《「障害者」の範囲》
障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています(短時間労働者は原則0.5人カウント)。
ただし、障害者雇用に関する助成金については、手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となり、またハローワークや地域障害者職業センターなどによる支援においては、「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象となります。

引用:厚生労働省ホームページ「事業主の方へ」

これより、障害者雇用の対象となるのは「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」に分けられます。
発達障害や難病をお持ちの方など障害種別の就労支援策があり、該当者はそれらを利用して就職先を探しています。

障害者雇用に関する法律やルールについて

障害者の雇用を増やす為にいくつかのルールや法律があります。
企業が障害者を採用する上で関連する制度を順番にご紹介していきます!

障害者雇用促進法

正式には「障害者の雇用の促進などに関する法律」と言います。
障害者の就労促進・生活の安定を目的に施行されました。
障害者の採用を促すため、障害者活躍推進計画の策定を求めたり、障害者の就労支援・事業主への指導を行ったり、障害者雇用が活発な企業を認定する制度を設けたりしています。

法律で決まっている企業の雇用義務(法定雇用率)

(引用:厚生労働省ホームページ

国は「障がいの有無に関わらずみんなに労働の機会を提供する為」一定率以上の障がい者を雇用するルールを定めています。
障がい者の法定雇用率は徐々に高まっており、前回2018年4月の改訂から3年たらずでの引き上げとなりました。

今回(2021年3月)の民間企業に関する変更点は下記2つ
1、法定雇用率が2.2%から2.3%へ引上げ
2、対象となる企業は、従業員数45.5人以上から43.5人以上

43.5人以上の従業員を雇用している事業主は、毎年6月1日時点の障がい者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。(障害者雇用促進法43条第7項)

法定雇用率を未達成かつ従業員数100名以上の企業は、障害者雇用納付金の支払いが必要です。

障害者雇用納付金制度

障害者を雇用するためには、職場環境の整備や施設・設備の改善が必要な場合があり、一般雇用と比べて企業の負担が重くなります。
そこで、企業の負担を平等にする為の「納付金制度」が定められています。
障害者を雇用していない企業から「納付金」を徴収し、多く雇用している企業へ「調整金」や「報奨金」を支給するというものです。
また、作業施設・設備の設置等について多額の費用が発生した場合は、その費用に対し助成金が支給されます。

詳しく説明すると、法定雇用率が未達成で常用労働者が100名以上いる企業は、不足者1名に対し月5万円の納付金が徴収されます。
この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、条件に応じ2万1000円の報奨金もしくは2万7000円の調整金が支給されます。

企業が受け取れる障害者雇用に関する助成金

雇用納付金制度で受け取れる助成金は下記があります。

  • 障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金:職場整備に関する助成金
  • 障害者介助等助成金:雇用管理のために必要な措置を行う場合の助成金
  • 重度障害者等通勤対策助成金:通勤を支援する為の助成金
  • 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金:多数の継続雇用する際の助成金
  • 職場適応援助者助成金:職場に適応する助けをする際の助成金

雇用納付金制度とは別に、障害者を雇用・支援した場合に受けられる助成金もあります。

  • 特定求職者雇用開発助成金:ハローワーク等の紹介により障害者を雇い入れた企業
  • トライアル雇用助成金:試行的に障害者を雇い入れた企業
  • 障害者雇用納付金制度に基づく助成金:施設を整備したり適切な雇用管理措置を行った企業
  • 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース):職業能力の開発・支援を行った企業
  • キャリアアップ助成金:職場定着の措置を実施した企業

各助成金の詳細は、厚生労働省のホームページをご覧いただくか、お近くのハローワークへお問い合わせ下さい。
▷障害者雇用に関する助成金:厚生労働省HP「⑤障害者雇用に関する助成金
▷障害者雇用納付金制度に関する助成金:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「助成金」

障害者を雇用する企業のメリット

障害者を雇用することは、企業にとって重要な法的義務を果たすことに繋がりますが、それ以外にも以下のようなメリットがあります。

①CSR(企業の社会的責任)を果たす

障害者を雇用することは、社会的に大きな意義のあることです。
特に、近年は「働き方改革」や「ダイバーシティ」の注目度が高まっており、多様な人材を採用することはそれらを実現することにも繋がります。

障害者の採用に積極的な企業は、社会的信用や企業価値の向上にも効果的です。
障害者雇用に関する優良企業に選ばれた際には、大きなアピールポイントにもなります。

②業務の効率化に繋がる

障害者を雇用する場合、その方の障害の程度や職務能力を勘案して業務を用意する必要があるため、業務を細かくリストアップしたり役割分担を明確にする必要があります。
普段の業務を洗い出して行程を再確認することで、全体の効率化や最適化に繋がります

③戦力となる人材を確保できる

障害者というだけで採用を見送ることは、「優秀な人材を逃すこと」に繋がりかねません。
人それぞれの個性があるように、障害がある方にも程度や能力は様々です。
その人の特性をしっかりと理解した上で適切な人材配置を行うと、高い能力を発揮してくれることがあります。

1人1人と向き合い、その人に合った職場環境を用意することで、戦力として活躍してくれる可能性を秘めています。

④多様性の実現

ダイバーシティとは、性別や国籍、障害の有無に関わらず多様な人材が活躍できる職場を指します。
一緒に働いてみると、今まで気付かなかった個性や能力に気付くことがあります。
そんな風に新しい気付きを得られたり、違った視点からの提案を受けられるかもしれません。

障害者雇用をきっかけに職場の多様性が向上し、お互いに助け合う文化を生むことで、より組織力が強化されることも。
多様な人材が活躍し、競争力の高い企業になっていくチャンスでもあるのです。

⑤助成金や調整金を受け取れる

先ほど紹介したように、障害者を積極的に雇用する企業を支援する取り組みがたくさんあります。
国から助成金を受け取りながら、職場全体の最適化・組織力強化・多様化を進めるチャンスです。

【最新】障害者雇用の現状と課題

引用:厚生労働省「障害者雇用率の0.1%引上げの時期について(案)」

●雇用障害者数:59万7,786人
●前年より1万9,494人増加
●実雇用率2.2%
●法定雇用率の達成企業は47.6%(半分以上が満たしていません)
【詳細はコチラ:令和3年 障害者雇用状況の集計結果

雇用されている障害者の数は、18年連続で過去最高を更新
障害者の雇用が確実に増えていることが分かります。

しかし一方で、法定雇用率を達成した企業の割合は前年より微減。
まだ過半数の企業が法定雇用率を達成できていない」というのが、現在の障害者雇用の実態です。

障害者の雇用を進める方法

障害者雇用が活発にならない原因として「理解不足」が挙げられます。
「社内の理解が得られない」「任せられる仕事が分からない」「どんな風にコミュニケーションをとっていいのか分からない」等です。

正しい知識を持って、障害のある方を受け入れる体制つくりが最初の課題です!

障害者に対する理解を深める

障害の特性や能力はそれぞれです。
どんな種類の障がいがあり、何が苦手で何が出来るのか、特性や能力を把握することが大切です。
実際、障害者手帳を持っているだけで業務に支障のない方、高度なスキル・経験を持っている方も多数いらっしゃることを、もっと多くの方に知ってもらいたいなと思います。

自分たちが理解するとともに、社内に周知し入っていきやすい環境を整えておくことも大事◎

障害者も活躍できる職場の作り方

身体的に障害のある方であれば、バリアフリーであれば移動が楽になります。
また、通勤が困難な方はテレワークでも働けるようになると可能性が広がります。

小さな工夫としては、仕事内容に応じて視覚的に情報を分かりやすくまとめること(ホワイトボードや付箋の活用など)は、比較的簡単にできるのでオススメ◎
イラストを使ったり、色分けをすると、社内ルールの共有もスムーズです。

障害の有無に関わらず1人1人と向き合う

障害者の採用に関わらず、目の前の求職者1人1人と向き合う姿勢が大事だと思っています。
障害の種類によって企業に求められる対応も異なるので、どんな方を採用したいのか、どんな仕事を任せたいのか、を決めてから募集することがポイント◎

ハローワークに相談する

障がい者のうち、在宅者の人数は、約914万人。(2021年1月現在)
2030年の人手不足の推定値は約644万人と言われています。
働きたいのに働けていない障害者を減らすことが出来れば、企業の人手不足を解消にも繋がります◎

ハローワークの職業紹介サービスを利用すると、専門の職員が求人にマッチした障害者を紹介してくれます。

特別支援学校に求人を出す

就職を希望している学生に向けて自社の求人情報を提供する方法もあります。

民間の職業紹介業者を利用する

求人にマッチした障害者を採用してくれたり、障害者を対象とした合同説明会を開催していることがあります。
そういった民間のサービスを利用するのも手段の1つです。

障がい者採用求人数

Indeedで大阪市内の「障がい者雇用」を検索したところ1900件の求人がヒットしました!
障害者の採用にもIndeedが使えるということが分かります。

軽作業や清掃員の求人を始め、事務スタッフ募集の求人が多数。
複数の求人を見て思ったことは、
・現在、何名の障がい者の方が働いているのか
・障がい者の方も働きやすい取り組み
・これまでの雇用実績(どんな障がいのある方がいたのか)
等が明記されていると応募しやすく感じました。

まとめ

今回は、障害者の雇用について「企業が障害者を採用するメリット」や「関連したルールや法律」をご紹介しました!
助成金や補助金に関する疑問点は、専門の社労士さんへ相談するのがオススメ。

弊社にも、連携している社労士さんがいるので安心してご相談くださいね!

●障がい者雇用に関するお役立ちリンク●
▷障がい者を採用した場合に受け取れる助成金の種類:障害者を雇い入れた場合などの助成
▷障がい者の採用に関する相談窓口・支援機関の一覧:障害者雇用に関する各種相談・支援機関
▷障がい者を採用した場合の税金の優遇について:障害者雇用に係る税制上の優遇措置
▷その他、障がい者の採用全般について:障害者雇用対策

また、私たちは障害者支援を行うNPO法人YELL JAPAN に企業協賛しております。
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