公開:2025年9月19日
更新:2025年9月19日
第1章 シニア採用の実態と重要性
~シニア世代の仕事検索は増加している!~
Indeed Japan株式会社「シニア世代(60歳以上)の仕事検索動向、および、求人動向の調査」によると「60歳/60代」や「70歳/70代」に関連する仕事の検索割合を調べたところ、2024年8月時点で、過去6年間で最も高い割合に達していることが分かりました。
具体的には「60歳/60代」の検索割合は2018年8月と比較して6年間で4.3倍に増加し、「70歳/70代」の検索割合は同じく2018年8月と比べて17.4倍にも増えました。

~シニア世代の求人募集は減少したあと、そこまで増加していない!~
一方で、60歳以上を積極的に募集している求人の割合を調べた調査によるとコロナ禍が始まった2020年7月をピークに大きく減少し、2022年以降は0.1%前後で推移していることが分かりました。コロナ前の水準には戻っておらず、2024年9月には2020年7月のピーク時の約4分の1(23.7%)にとどまっています。これはシニア世代の求職者が増えている一方で、それに見合う求人は十分に増えていないことを示しています。

これらの調査結果からシニア世代の労働市場における需要と供給のギャップが拡大していることがわかります。
シニア世代の求職ニーズは急激に増加しており、シニア世代が自らのキャリアを続けたり、新たに仕事を探したりする意欲が高まっていることが示唆されます。
この背景には定年後も働き続けたいという意識や経済的な理由から仕事を求めるシニア層が増えていることが考えられます。
一方でシニア層を積極的に募集している求人の割合はコロナ禍をきっかけに減少し、その後も回復していないことが明らかになっています。求人企業がシニア層に対する雇用機会を十分に提供できていない現状が浮き彫りになっています。この傾向は企業側の採用戦略や業務形態がシニア世代に対応できていないこと、またシニア層が求める柔軟な働き方や条件に合う求人が少ないことを示している可能性があります。
これらの結果から今後シニア層の仕事を探すニーズに応じた求人の増加に向けて、企業はシニア世代を積極的に受け入れる体制を整える必要があります。
シニア世代の求職活動が活発化している一方で、それに見合う求人の増加が追いついていないというギャップを埋めるためには企業がシニア層の価値を再認識し、柔軟かつ多様な働き方を提供することで、シニア層の労働市場への参加を促進することが重要になってくるでしょう。
高齢化社会が進む中でシニア世代が持つ経験やスキルは企業にとって貴重な資源となり、企業の競争力を高める要素になります。
特に豊富な業界経験や顧客との信頼関係などシニア層の強みは新しい視点を提供し、若手社員の育成にも大きな役割を果たすことが期待できます。
~生産年齢人口と労働力人口の最新状況~
また、シニア採用を考える背景として日本全体の人口構造・労働力構造の変化も重要です。
生産年齢人口(15〜64歳) は1995年のピーク(約8,726万人/総人口比 69.5%)から低下を続けており、最新で2023年10月時点では 約7,395万人/総人口比 59.5%です。
総務省・労働力調査によると労働力人口(15歳以上で就業者+完全失業者) は2024年平均で約 6,957万人で前年に比べて増加しており、15〜64歳の労働力人口は約 6,011万人です。
これらのデータは日本がいわゆる少子高齢化のフェーズに入り、生産年齢人口の減少、すなわち労働供給側の縮小が進んでいることを示しています。そういった点からもシニア層を含めた人材の幅広い活用が企業経営・社会活性化の鍵となっていることがわかります。
第2章 シニア採用のメリット~企業にとっての価値~

シニア層を採用することには企業にとって多くのメリットがあります。
特に経験豊富なシニア社員が持つ知識やスキルは企業にとって非常に貴重な資産となります。
以下にシニア採用の主要なメリットを5点挙げてみました!
❶経験と知識の蓄積

シニア社員は長年の業務経験に基づく深い知識を持っています。
特に問題解決能力や業界特有の知識、人間関係の構築において若手社員が学べることはとても多いです。シニア層はその豊富な経験から企業が抱える課題に対して実践的で有益なアドバイスを提供できる存在と言えます。
❷安定感と信頼性

シニア層はキャリアの終盤に差し掛かるため、安定感や信頼性が高いとされます。
長期間にわたり様々な環境や業務に対応してきたシニア社員は柔軟に仕事をこなし、企業における重要な役割を担ってくれることが期待できます。
❸メンターとしての役割

シニア社員は若手社員にとって貴重なメンターとなることができます。
これにより社員間のスキルや知識の伝承が進み、若手社員の育成がスムーズになります。特に新人教育やチームワークの向上においてシニア社員の経験が役立ちます。
➍多様性の向上

シニア採用を進めることで企業内の年齢層が多様化し、異なる視点や考え方が生まれます。
多様性のある職場は創造的な解決策や新たなアイデアの発展に繋がり、企業の競争力を高める効果があります。
❺社会的責任の達成

シニア採用は企業の社会的責任(CSR)やダイバーシティ(多様性)推進の一環としても重要です。高齢化社会の中でシニア層を積極的に雇用することは社会全体の福祉に貢献する意味でも意義が大きいと言えるでしょう。
以上5つのメリットはシニア採用を進める上で大きな魅力となり、企業の成長や発展に繋がります。
しかしシニア社員を活用するには適切な職場環境づくりやサポート体制が必要です。
そこで次章ではシニア採用における課題とその解決策について詳しくご紹介します!
第3章 シニア採用における課題と解決策

前章でシニア採用の可能性について述べましたが、一方で企業が直面する課題も存在します。
これらの課題に適切に対応することでシニア層を活用した人材戦略はさらに強化され、企業にとっての大きな価値を生み出すことができます。
この章ではシニア採用における代表的な課題とそれを解決するための具体的なアプローチについてまとめました。
☑テクノロジーの進化に対する適応力の低さ
【課題】
テクノロジーが急速に進化している中でシニア層が最新のデジタルツールやソフトウェアに対応できるかどうかが懸念されます。
特にITやデジタル分野での仕事においては若年層と比べてスキルのギャップが存在してしまい、シニア人材の労働市場への参加を妨げる原因となることがあります。

【解決策】
企業はシニア層向けのスキルアッププログラムを積極的に導入する必要があります。
例えば定期的な研修やトレーニングを提供し、シニア社員に必要なテクノロジースキルを習得させることが重要です。
また業務に使うツールをシンプルにし、導入時にサポート体制を強化することでシニア人材が安心して新しい技術を使えるようにします。さらにオンライン学習やeラーニングの導入も有効です。自分のペースで学習を進められる環境を整えることでシニア人材の学習意欲を高め、スムーズなデジタル化を実現できます。
☑身体的な負担や健康面での懸念
【課題】
年齢を重ねることによって体力や健康面での不安が増します。
特に長時間のデスクワークや肉体的な負担が大きい業務はシニア層にとって大きな挑戦となる可能性があります。このような状況での労働環境がシニア人材の採用や定着を難しくする原因となります。

【解決策】
企業はシニア層向けに柔軟な勤務形態を提供することが求められます。
例えばフルタイム勤務ではなくパートタイム勤務やフレックスタイム制を導入することは身体的負担を軽減する手段になります。
また仕事内容についてもシニア層の体力に合わせた役割を割り当てることが重要です。肉体的に負担の少ない事務作業や知識を活かしたコンサルティング的な役割を担当させることで体力の問題をクリアしつつ、シニア層が持つ経験を最大限に活かすことができます。
さらに企業は従業員の健康管理に力を入れ、健康診断やメンタルケアサポートなどを提供することも大切です。企業としてシニア人材の健康をサポートする姿勢を示すことでシニア層が安心して長期的に働ける環境を整えます。
☑労働市場における年齢差別や偏見
【課題】
シニア層が企業に採用される際、年齢に基づく偏見や差別的な見方が存在することもあります。
特に年齢による能力への先入観やシニア層に対する「働ける年齢」を超えているという固定観念が採用過程で問題になることが多いです。
これによりシニア層の就職機会が制限されることがあり、企業内でも年齢に基づく不公平な扱いが生じることがあります。

【解決策】
企業文化として年齢に対する偏見をなくし、年齢や性別に関係なく、多様な人材を積極的に採用する姿勢を示すことが必要です。
具体的には採用時に年齢を問わず、スキルや経験、適性を重視する評価基準を設定することが重要です。
またシニア層の採用を積極的に進める企業内での意識改革も求められます。シニア社員が若い社員とともに活躍している成功事例を社内で共有することでシニア層への理解を深め、偏見を減らすことができます。
☑ 退職後の社会保障や年金の問題
【課題】
シニア層の中には退職後の年金や生活の不安から再就職を希望する方も多いです。
しかし企業側はシニア層を雇用する際の社会保険料の負担や退職後の年金との調整が複雑であることから採用を控えることがあるかもしれません。

【解決策】
企業はシニア層の雇用に関する法制度や社会保障の仕組みをよく理解し、雇用契約の設計に柔軟性を持たせることが重要です。
例えば年金受給とのバランスを取るために働きながら年金を受け取れる制度を活用したり、社会保険料の負担を軽減する方法を検討したりすることが考えられます。
また企業がシニア層向けに※特別な雇用制度を導入することでシニア人材が安心して再就職できる環境を整えることができます。
※特別な雇用制度とは→例えば定年後の再雇用契約や年金支給と併用したパートタイム勤務など
第4章 シニア採用の成功事例

シニア人材を積極的に採用する企業が増えている中で実際に成功を収めている事例も多数存在します。
本章ではシニア採用がどのように企業の発展に寄与したのか具体的な事例を通じてその成功要因を探っていきましょう!
成功事例⑴リーダーシップの強化 ~ 大手製造業A社
A社は長年にわたり製造業で確固たる地位を築いてきた企業ですが近年、急速な技術革新とグローバル化に対応するためにシニア人材の採用を強化しました。
特にシニア層をターゲットにした採用戦略を導入した背景には組織のリーダーシップ強化と伝統的なノウハウの継承という目的がありました。
成功要因
豊富な業界知識と経験
シニア人材が持つ業界の動向や歴史的な背景に基づく深い知識は若い社員にとって非常に貴重なリソースとなり、製品開発や品質管理において新たな視点を提供しました。
特に製品の改良点を見つける能力や業界全体の動向を把握する力は若手社員にとっての指導となり、組織全体の強化に繋がりました。
メンター制度の導入
A社はシニア人材を単にスタッフとしてではなく、若手社員のメンター役として積極的に活用しました。これにより若手社員がシニア社員から直接学べる環境が整備され、知識やノウハウが自然に次世代に引き継がれました。
成果
A社はシニア採用を進めることでリーダーシップの強化とともに、組織全体の知識のレベルアップを実現しました。またシニア社員の経験と若手社員の柔軟性を融合させることができ、より効率的で革新的な製品開発に成功し、市場での競争優位性を高めることに繋がりました。
成功事例⑵顧客対応力の向上 ~ B社(IT企業)
B社はシニア人材の採用を通じて顧客対応力を大きく向上させた企業の一例です。
もともとB社は急速なIT技術の発展に追いつくため、若いエンジニアを中心とした人材戦略を取っていました。
しかし顧客対応の品質に関しては若手社員の経験不足が一因となり、顧客満足度の低下を招いていました。そこでシニア層を積極的に採用し、特に顧客対応部門に配置した結果、問題が解決しました。
成功要因
深い業務理解と冷静な判断力
シニア社員は過去の経験を活かし、冷静かつ的確な判断を下す能力に優れており、顧客からの難解な問い合わせや問題解決において非常に強力な支援となりました。
特に長年の業務経験を通じて培った問題解決のスキルは顧客からの信頼を得る大きな要因となりました。
コミュニケーション力
シニア層は長年のビジネス経験を通じて高度なコミュニケーションスキルを身につけています。
このスキルが顧客対応において大きな強みとなり、問題を迅速かつ丁寧に解決することで顧客満足度を大幅に向上させました。
成果
B社はシニア層を顧客対応部門に配置することで顧客からの評価が急激に向上しました。
シニア社員が持つ豊富な経験と冷静な判断力が顧客との信頼関係を強化し、リピーターや新規顧客の獲得に繋がりました。
またシニア社員の対応力向上により、若手社員もシニア社員のスキルを学ぶことができ、全体の顧客対応力が向上しました。
成功事例⑶弊社のシニア取締役(社外)による営業支援(株式会社採用戦略研究所)
弊社には現在、社外シニア取締役が在籍しています。
その方は長年の業界経験と幅広い人脈を持ち、経営視点からの助言だけでなく、実際の営業活動の支援にも携わっていただいています。新規の顧客開拓や既存顧客との信頼関係強化といった営業面でこれまで若手社員だけでは到達が難しかった領域に橋渡しをしてくださっています。
成功要因
業界内における豊富な人脈と信頼関係を活用
この取り組みが成功している大きな要因はシニア取締役が持つ「業界内における豊富な人脈と信頼関係」にあります。長年のキャリアの中で築き上げられた人脈は弊社がこれまで接点を持ちにくかった顧客やパートナー企業にアプローチする際の大きな後ろ盾となりました。また単なる紹介にとどまらず相手先からの信頼を背景にスムーズに関係構築が進み、営業活動において強力な推進力を発揮しています。
成果
こうしたサポートの結果、実際に新規顧客の獲得に繋がる案件紹介や商談同席が数多く実現しました。若手社員のみではアクセスが難しかった市場に進出できただけでなく、商談の場ではシニア取締役の経験に基づく助言や対応が信頼感を高め、交渉の成功率を押し上げています。
さらに営業プロセスが円滑化したことにより案件化までのスピードが向上し、組織全体の営業力強化にも繋がっています。
第5章 まとめ

シニア採用は企業にとって大きな可能性を秘めており、経験豊富な人材を活用することで業務の安定性向上、若手社員の育成、多様な視点の導入など企業の成長につながる様々なメリットを得ることができることがお分かり頂けましたでしょうか。
しかしテクノロジー適応や健康面の課題、年齢による偏見などの障壁も存在し、単に採用を進めるだけでは十分とは言えません。
成功するためには適切な研修制度やサポート体制の整備、柔軟な働き方の導入、社内の意識改革が不可欠です。
これらの環境を整えることでシニア社員が持つ知識やスキルを最大限に活かし、企業の競争力強化に貢献できます。

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