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採用手法は増えたのに成果が出ない?——多様化時代の採用戦略を考える

公開:2026年01月25日
更新:2026年01月25日

近年、採用活動で活用される手法は急速に多様化しています。
求人広告媒体に加え、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、SNSを活用した採用など、複数の採用手法を併用する企業が増加しています。

一方、マイナビの企業向け調査では、採用活動について「思うように成果が出ていない」と感じている企業が一定数存在していることも示されています。採用手法の選択肢が広がる一方で、成果との間にギャップが生じているケースが見られます。

このような状況を踏まえると、「採用手法は増えているにもかかわらず、なぜ採用は難しいままなのか」という疑問が生じます。

実際の現場では、新しい採用手法を導入しても期待した成果につながらず、さらに別の手法を追加するといった対応を繰り返している企業も見受けられます。背景を整理すると、課題の一部は採用手法そのものではなく、採用全体の設計や運用の在り方に関係している可能性があります。

本稿では、採用手法が多様化している現在の状況を整理したうえで、多くの企業に共通して見られる課題と、この環境下で採用成果を高めていくための参考となる視点について整理していきます。

第1章:採用手法はどこまで多様化しているのか。

かつての採用活動は、求人広告媒体を中心とした比較的シンプルな構造で成り立っていました。
求人広告媒体に掲載し、転職希望者からの応募を待ち、面接を行うという流れが、採用活動の基本形として広く浸透していた時代がありました。

しかし近年、採用活動を取り巻く環境は大きく変化しています。

求人広告媒体に加えて、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用(縁故紹介)、SNS採用、アルムナイ採用(一度退職した元社員を自社社員として再雇用する採用)、採用イベント・合同説明会、自社サイト経由の直接応募など、活用される採用手法は多様化しています。企業は、「どのような手法を用い、どのツールを選択するのか」を検討した上で、採用を進めるケースが増えています。

ここで重要なのは、採用手法が単に増加したという点ではありません。現在の変化の本質は、考え方やアプローチが異なる複数の採用手法が、同時に並行して存在している点にあります。

例えば、求人広告媒体は「応募を待つ採用」である一方、リファラル採用は「社員の信頼関係を起点とする採用」です。このように、採用手法ごとに前提となる考え方や進め方は大きく異なります。採用の可能性が広がる一方で、採用手法の選択や運用をどのように組み立てるかが難しくなり、採用活動全体が複雑化している状況が見られます。

上記図の通り、「今年、新たに採用チャネルを増やしたか」という設問では、「今年、新たに採用チャネルを増やした」と回答する企業が一定数存在しており、採用活動を現状維持のまま進めることが難しくなってきている状況がうかがえます。

内訳を見ると、企業が新たに追加している採用チャネルは、必ずしもSNSのような話題性のある手法に偏っているわけではありません。企業側から主体的に転職希望者との接点を構築する採用チャネルに重心が置かれている点が、一つの特徴として確認できます。

待つ採用だけでは母集団形成が難しくなり、接点づくりそのものを見直す動きが広がっている状況と整理できます。

一方で、リファラル採用(縁故紹介)やアルムナイ採用(一度退職した元社員を自社社員として再雇用する採用)、自社サイトの強化といった、社内資産を活用するチャネルも一定程度選択されています。
応募数の増加だけでなく、ミスマッチを抑えながら採用の質を高めたいという意図が、採用チャネルの選択に反映されている可能性を示しています。

このような状況を踏まえると、企業には「どの採用手法を用いるか」だけでなく、「なぜその手法を選択するのか」「どの段階で活用するのか」といった視点が、より一層求められるようになっています。

採用手法の変化は、新しい手段が単に流行として登場しているということではなく、採用活動そのものが「選択と設計を伴うプロセス」へと変化していることを意味しています。

したがって、これらの変化が採用の可能性を広げる一方で、採用活動を複雑化させ、判断を難しくしている要因にもなっています。

第2章:主要採用手法の特性と導入時のメリット・デメリット

第1章で述べた通り、現代の採用活動は「掲載して待つ」単一モデルから、複数の採用手法を組み合わせて運用する設計モデルへと移行しています。企業が自社に適した採用チャネルを選択する際には、採用コスト、母集団形成のしやすさ、マッチングの質といった観点を踏まえ、総合的に判断する必要があります。

以下では、主要な採用手法の特性を整理します。(出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」)

1.人材紹介(エージェント)

外部の専門エージェントを介して、要件に合致する人材の紹介を受ける手法です。

メリット

・選考効率の向上
 エージェントが事前に条件調整や候補者選別を行うため、一定の要件を満たした人材とのみ面接を行うことが可能です。
・成果報酬型によるリスク低減
 入社決定まで費用が発生しない仕組みであり、不採用時の直接的なコスト負担を抑えられます。

デメリット

・採用コストが高くなりやすい
 手数料は年収の30〜35%程度が一般的であり、他の採用手法と比較すると、1名あたりの採用単価は高水準となります。

人材紹介は利便性が高い一方、採用単価の上昇を背景に、他の採用手法と併用しながらバランスを取ろうとする企業が増えている状況がうかがえます。

2.ダイレクトリクルーティング(スカウト型)

企業の採用担当者がデータベースを活用し、候補者へ直接アプローチを行う採用手法です。。

メリット

・潜在層へのアプローチが可能
 転職意向が顕在化していない層にも接触でき、母集団形成の幅を広げられます。
・中長期的なコスト抑制
 採用人数が増えるほど、1名あたりの採用単価を抑えやすい特性があります。

デメリット

・運用工数が大きい
候補者選定や個別スカウト文の作成など、担当者の時間的・スキル的なリソースが求められます

同調査では、2025年の中途採用に「積極的」と回答した企業が9割を超えています。採用競争が激化する中で、候補者一人ひとりに対して自社の魅力を直接伝えられるスカウト型手法は、他手法を補完する選択肢として重要性が高まっていると整理できます。

3.リファラル採用(社員紹介)

自社の社員を通じて、知人や友人の紹介を受ける手法です。

メリット

・マッチングの質が高い
 社員から社風や業務実態を聞いた上で応募するため、入社後のギャップが生じにくい傾向があります。
・コストを抑えやすい
 媒体費や外部手数料が不要であり、紹介手当などの社内インセンティブで運用できます。

デメリット

・計画的な採用が難しい
 紹介発生のタイミングを管理しにくく、短期間での大量採用には適しません。

同調査では、ミスマッチを理由とした離職を経験した企業が一定数存在することも示されています。信頼関係を前提とするリファラル採用は、採用の質を重視する企業にとって有効な選択肢の一つと位置づけられます。

4.求人広告媒体(媒体掲載)

求人広告媒体へ情報を掲載し、広く応募を募る手法です。

メリット

・母集団形成のスピード
短期間で多くの求職者に情報を届けることができ、認知拡大に優れています。

デメリット

・応募有無にかかわらず費用が発生
 ターゲット層とのズレが生じた場合、費用対効果が低下するリスクがあります。

人材の流動性が高まる中、求人広告媒体単体では他社に埋もれやすい状況が見られます。近年は、SNSや自社サイトと組み合わせ、企業の考え方や働き方を多面的に伝える工夫が、より重要になっています。

まとめ


各採用手法には、コスト、母集団形成力、マッチングの質といった異なる特性があります。企業の状況に応じて採用手法を組み合わせて設計する視点が、これまで以上に求められていることが示されています。

3章:採用手法が増えても「採用数」が伸びない本当の理由
 

採用チャネルを増やしても成果が伸びない背景には、採用手法の選択ミスではなく、市場構造の変化に十分対応できていない点が影響している可能性があります。第1章で整理した通り、企業が活用できる採用手法やチャネルは増加しています。

一方で、以下の要素が同時に進行しています。

・求人倍率の高止まり
・候補者の比較検討の高度化
・業務分散によるスピード低下
上記の状況が重なり、「数を増やせば採用できる」という前提が成り立ちにくくなっています。

出典:「中途採用状況2025版(2024年実績)」

1.求人倍率は「職種によって大きく異なる」

求人倍率が高止まりしている状況でも、すべての職種が同一条件に置かれているわけではありません。職種別に見ると、採用難易度には明確な差が見られます。

マイナビの公開データでは、以下の水準が示されています。

・保安職:5倍超
建設・採掘:4倍台
・サービス・販売:2倍前後
・事務:1倍を下回る水準

(出典:マイナビ転職 有効求人倍率解説)

必要人材の偏在が明確であり、倍率が高い職種では、条件提示や選考スピードの高度化が不可欠です。一方、倍率が低い職種では、仕事内容の明確化や応募体験の改善が成果に影響すると整理できます。

したがって、採用活動は一律対応ではなく、職種別に設計を切り分けて考える必要があります。

2.候補者の「比較検討」が進んでいる可能性

候補者は、複数の求人広告媒体や情報源を比較しながら転職活動を進めている傾向があります。

マイナビの調査では、転職者について
「閲覧した求人広告媒体の平均:30.7件」
「応募した企業の平均:9.0社」
という結果が示されています。

出典:マイナビ「転職動向調査(2025年版/2024年実績

1社のみで判断するのではなく、複数の求人広告媒体や企業情報を比較した上で応募先を選定している行動が読み取れます。企業側には、他社と比較された際に、何が分かりやすく伝わるのかという視点で情報提供を整理することが求められます。

3.選考スピード低下は「業務分散」が影響する可能性

採用業務が分散し、連絡や選考調整に時間がかかると、候補者の辞退につながる要因があることが複数の調査で示されています。

2025年の『エン転職』ユーザーアンケートでは、面接を辞退した人の約42%が「面接連絡後から日程決定までの待ち時間」を理由に辞退を決めたと報告されています。
出典:エン転職「面接・面接辞退」実態調査(2025年11月実施)

複数の採用チャネルや担当者間で情報が分散しやすい環境では、

・連絡の遅れ
・日程調整の遅延
・コミュニケーションのズレ

が生じやすく、候補者が他社の選考状況と比較した上で辞退を判断するケースが増える傾向があります。

したがって、採用プロセスにおける情報・連絡の分散は、選考スピード低下と候補者体験の不一致というリスクにつながる可能性があると考えられます。

業務分散を抑え、一貫した連絡・進捗管理を行うことは、候補者の選考辞退を減らし、定着率の改善につながる要素の一つとして示唆されます。

まとめ:手法の「追加」から「接点の質の改善へ」

採用成果を高める上で重要なのは、採用チャネルの数を増やすことではなく、候補者が複数のチャネルを通じて企業を比較する前提で、接点の質を整えることです。

候補者は、以下の観点から意思決定を行っています。

・入社後の働く姿を具体的にイメージできるか
・懸念点について丁寧な説明が行われているか
・企業の考え方が一貫して伝わっているか

上記の要素が、ミスマッチ防止や定着に影響すると考えられます。

第4章:多様化を勝ち抜くための「採用チャネル最適化」戦略

採用チャネルが増加した現在、成果に直結する要素は「手法の数」ではありません。候補者が安心して判断できる状態を整えるためには、情報の質と選考体験の設計が重要です。

現在の転職活動では、1つの媒体のみで意思決定が行われるケースは少なく、転職サイト、エージェント、口コミ、SNSなど、複数の情報源を行き来しながら企業を確認する行動が一般化しています。

情報収集の過程では、採用サイトで企業の考え方を確認し、口コミやSNSで現場の雰囲気を確かめ、選考中の対応から働きやすさを推測する流れが見られます。

一方、企業との最初の接点は、必ずしも採用サイトに限定されていません。

出典:株式会社ベイジ|中途採用における採用サイト利用実態調査(2024年度版)

上記図の通り、転職サイト、エージェント、採用サイトなど、応募までの入口が複数に分散している状況が確認されています。

そのため、採用サイトを改善した場合でも、採用サイト経由の応募数が直ちに増加するとは限りません。

ただし、採用サイトの価値が低下しているわけではありません。分散した情報を整理し、公式情報として一元的に提示する役割は、従来以上に重要性を増しています。また、選考におけるスピードや対応の丁寧さも、候補者の志望度に影響を与える要素として認識される場面が増えています。

1.情報を採用サイトへ集約する
複数の採用チャネルから流入した場合でも、最終的には採用サイトで以下の内容が一貫して確認できる設計が求められます。

・仕事内容
・企業の方針
・実際に働くイメージ

情報の整理が進むことで、選考途中に生じやすい不安や誤解の抑制が期待できます。

2. 選考リードタイムを短縮する

採用チャネルを過度に増やした結果、対応が追いつかなくなる状況よりも、管理可能な範囲に整理し、迅速かつ丁寧な対応を徹底する姿勢が重要です。

応募受付から面接設定、結果連絡までの流れが円滑であるほど、選考辞退の抑制や志望度の向上につながる可能性があります。

【まとめ】
今後の採用活動で重視される点は、新しい採用手法を追加することではありません。自社の魅力を誠実に伝え、候補者が安心して判断できる体験を提供できる体制を整えることが、成果向上につながる重要な視点と整理できます。

第5章:まとめ──採用成果を最大化するために

これまで本稿では、採用チャネルの多様化が進む一方で、単に採用手法を増やすだけでは成果につながりにくい構造的な背景と、対応の考え方を整理してきました。
現代の採用市場では、転職サイト、人材紹介、SNSなど複数の接点を通じて、求職者が企業を比較検討しています。

企業が提供する情報の質と選考体験は、応募の決断、辞退、内定承諾に強く影響します。選考結果を左右する要素は、採用手法の追加ではなく、ターゲットに合致した接点の設計と運用の最適化です。

しかし、設計や運用を社内のみで整えることは容易ではありません。求人広告媒体の選定、採用チャネルの組み合わせ、採用サイトの最適化、応募対応の体制構築など、専門的な視点やノウハウが求められる局面が多く存在します。

迫られるのは「採用設計全体」の再構築

採用活動における課題は、以下の点に集約されます。

・採用手法を増やしても成果が安定しない
・予算配分を行うべき採用チャネルが判断できない
・採用サイトやSNSにおける情報発信が整理されていない
・応募から合否連絡までの導線が不明確である

上記の課題は、手法単体の問題ではなく、チャネルの役割分担、情報設計、対応体制の整備といった採用設計全体が十分に整理されていない状況を示唆しています。

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