公開:2025年12月03日
更新:2025年12月03日
入社後90日までで、その人が定着するのか、それとも離職に向かうのかがほぼ決まると言われています。
来年こそ早期離職を防ぎたい企業にとって、この入社後90日までをどのように設計するかは、最も重要なポイントです。
そこで今回は、誰も教えてくれなかった「入社後の真実」についてお伝えいたします。
私自身、前職ではパティシエとして働いておりました。
お菓子作りが好きで飛び込んだ世界でしたが、半年で離職いたしました。
離職の理由は「仕事自体が嫌いになったから」ではなく、もっと小さなことでした。
振り返ると、その理由の多くは入社後の90日間にありました。
仕事の進め方が分からないことや、困ったときに誰へ相談すべきかが曖昧なこと。
自分の役割や期待されていることも見えないまま、ただ時間だけが過ぎていく――。
そうした小さなズレが積み重なり、半年後には離職という結果につながりました。
「3人に1人が90日以内に離職を検討する」とされており、“初期フォローの不足”が離職の主要因であることが示されています。
出典:Gallup
一方で、オンボーディングを適切に整備している企業では、1on1 の実施やタスクの分解といった取り組みにより、定着率が大きく改善しています。
したがって、採用後の「90日間を戦略的にデザインすること」が、来年の離職防止に直結します。
本稿では、効果が出る90日間の設計方法について、データと私自身の実体験をもとに解説します。
第1章 なぜ「入社後90日」までが最重要なのか?

厚生労働省が2024年10月に公表した最新データ(令和5年3月卒)では
大卒:3年以内離職率 32.8%
高卒:3年以内離職率 35.9%
と、依然として3人に1人が就職後3年以内に離職している状況です。
(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒))
離職理由には仕事内容のミスマッチ、人間関係の不安、職場の文化や価値観が合わないなど入社初期に生じるミスマッチが多く挙げられています。
図:半年以内で早期離職の要因

出所:エン・ジャパン「早期離職」に関するレポート(2025)
上記の図解が示すとおり、入社後の体験の質が「3年以内の離職率」を左右する主要因であると読み取れます。
離職が少ない企業では、初日から「役割・期待値・サポート体制」を丁寧に共有し、30日・60日・90日といったマイルストーンごとに進捗確認を行いながら、小さな成功体験を設計しています。
そのような取り組みにより、定着率が明確に改善したケースが多く報告されています。
私自身も入社当初は、「誰に質問すればよいのか」「この進め方で合っているのか」と不安を抱えていました。
その不安を抱えたまま働き続けると、自分だけが取り残されていくような感覚に陥ります。
したがって、採用後の90日間のオンボーディング設計は、早期離職を防ぐうえで極めて重要な施策であると言えます。
第2章 半年で辞めた私は知らなかった。新人の不安をなくす“90日の整え方”

出典:「早期離職」に関するレポート(2025)
離職理由は「仕事内容の相違」「人間関係」「教育不足」など初期に由来するものが多く、沢山の企業で定着率が課題に挙げられています。
また、国内大手各社(リクルート・パーソナル総研等)の調査においても、オンボーディングが整備された企業では定着率が20%~30%向上すること、さらにタスク分解や期待値の共有が早期離職の抑制に関与することが示されています。加えて、1on1 の実施頻度は心理的安全性とも相関があると報告されています。

● STEP1|0〜30日:役割と期待値の“見える化”期間
目的:不安の最小化・環境への適応 効果:ミスマッチ離職を防ぐ
この時期の小さな不安がその後の大きな不安へ繋がることを経験しております。
→ 行うべきこと
・初日に役割や求められる成果を言語化し、相談相手を明確にしておく
・社内用語や、業務フローを可視化し、1on1を週1で実施した後、30日に進捗をレビュー
(出典:離職率のトップは「仕事内容が合わない」(厚生労働省))
「何をしたらいいのか」が見えるだけで、心の負担は大きく減少します。
● STEP2|30〜60日:小さな成功体験を設計する期間
目的:業務理解の深化、自己効力感の向上
私は、ケーキの仕上げが一度上手く仕上がっただけで気持ちが軽くなったことを覚えています。
→ 行うべきこと
・業務を細分化して優先度を明示し、小さなプロジェクトを任せる。
・振り返りの時間を週1確保し、60日後に中間レビュー
(出典:成功体験の有無は、”仕事の継続意欲”に強く影響(リクルート))
● STEP3|60〜90日:成長実感と自律支援の期間
目的:会社への定着感・仕事への意味付け 効果:長期活躍移行
「自分はこの環境で力を発揮できている」という感情が芽生えるだけで、働く意義が明確になります。
→ 行うべきこと
・強みを活かした業務アサインや、フィードバックを月2回
・次の目標の共同設定をし、チームへの役割分担を明確化
出典:仕事の裁量感・成長機会は”定着意欲”に直結(パーソナル総研)
この3つのステップを設計することで新人が「働き続けられる自信」を期待でき、結果として3年以内の離職率改善に繋がる最初の90日が実現します。
近年の人材確保が難しい環境において、この90日の設計こそが「採用の成果を最大化する最後の一手」です。
第3章 最初の一ヶ月でつまずいた私だから書ける、中小企業の処方箋
中小企業の離職理由は「初期不安」が7割以上
中小企業基盤整備機構が2024年に実施した調査によると、中小企業で離職した人の71.2%が「入社初期の不安が原因であった」と回答しています。
不安の内容で多かったのは、
・職場の雰囲気が良くなかった。
・上司や同僚など職場の人間関係が合わなかった
といったオンボーディング不足に直結する項目です。
実は私自身、前職のパティシエとして働いていた際、“最初の一ヶ月でつまずいた側”の人間でした。
職場の空気は常に張りつめており、忙しさを理由に質問できる雰囲気はなく、「これ、聞いてもいいのかな…」「ミスしたら怒られるかもしれない…」と迷う時間が増えていきました。

図:正社員のワークライフ・インテグレーション調査(2024)
「最初の一ヶ月」でつまずく社員は、半年後の離職率が2.4倍に
パーソナル総研が 2024 年に発表した若手社員調査では、入社1か月時点で「仕事の全体像を理解できていない」と感じた人の半年以内の離職率は、2.4 倍に増加するという結果が示されています。
したがって、この 30 日間において不安を放置することは、離職リスクの上昇につながる構造であり、中小企業においても同様に当てはまると考えられます。
中小企業の教育に満足している若手はわずか18.7%
リクルートワークス研究所「働く若者(2024)」によると中小企業の若手社員で「入社後のフォローに満足している」と答えたのは18.7%に留まっています。
言い換えると、8割以上の若手が「オンボーディング不足」を感じているというのが現状です。
一方で、「面倒を見てくれる先輩がいた」「すぐに相談できる環境があった」と回答した社員は定着意欲が大幅に高く、中小企業が持つ“距離の近さ”が強みとして機能することを示しています。
●相談窓口を一つにするだけで離職リスクが半減
中小企業庁の「人材定着レポート(2024)」によると、相談相手を明確に1名設定している企業では、「半年以内の離職率が約半分に低減する」という結果が示されています。
特に若手層においては、「誰に質問すればよいのか分からない」状況が最もストレスの高い場面とされており、たった1名のメンターを配置するだけで、入社初期の不安の大半を解消できることが明らかになっています。
若手が躓きやすいのは、質問の仕方よりも、「自分を気にかけてくれる人がいない」 という孤立感です。
できたことも、困っていることも、誰にも気付いてもらえない日が続きました。不安が積み重なると、技術より先に“心が折れる”ことを痛感した経験があります
まとめ:少しの工夫で定着率は大きく上がる
最新データを総合すると、中小企業の離職率の高さはオンボーディングで防げる「初期不安」が原因です。
一方で
・役割の明確化
・相談窓口の明確化
このように、小さく始められる取り組みを実施するだけでも、定着率が大きく改善することが明らかになっています。
私が新人として躓いた経験からも、「聞ける相手がいること」「迷ったときに戻れる場所があること」 が、新人の一番の安心材料になると強く感じています。
2025 年の採用難が続く環境下においては、入社後最初の 90 日間をいかに設計するかが、中小企業の採用戦略の成否を左右します。
第4章 心理安全性の“温度”が“90日離職”を左右する理由
「聞けない」は静かに辞めたい気持ちを育てていく。

パーソナル総研「働くひとの意欲調査(2024)」では、「困ったときにすぐ質問できる」と回答した若手社員は、そうでない層と比較して定着率が2倍高いという結果が示されています。
またこの調査では離職に影響した要因として
・質問しづらい職場の雰囲気
・ミスを共有しにくい雰囲気
が上位に上がっており、心理安全性が、採用後の定着に直結していることが示されています。
私は、質問しづらい雰囲気の中で、「自分はこの仕事に向いていないのかもしれない」と勝手に結論づけてしまっていました。
若手が「辞めたい」と感じる瞬間の約6割が「人間関係にまつわる不安」
内訳には以下が含まれます。
・職場に味方がいないと感じる。
・上司に相談しづらい
これらはすべて「心理安全性」の欠如に該当します。
特に入社後90日以内はまだ人間関係が十分に構築されていないため、小さな不安がそのまま離職理由に直結しやすい期間です。
メンターという“焼き上がりを見守る人”の存在
中小企業庁の「人材支援定着レポート(2024)」では、メンター(相談役)を1名配置している企業は、1年以内離職率が「半分以下」に抑えられるという報告があります。
特に中小企業では、
・メンターを決めやすい
・配属直後から「相談先が明確」
・迷ったときすぐ聞ける
というメリットがあり心理安全性の底上げに繋がります。
●「ミスを共有できる文化」が新人のスピードを上げる
日本能率協会(JMA)の「組織開発調査(2024)」では、ミスを共有できる職場は、若手の成長スピードが 1.5 倍速いという結果が示されています。
新人は入社後 90 日間の中で、「理解したつもり」の状態で業務を進めてしまう傾向がありますが、共有しづらい雰囲気の組織では、
・分からないことを抱え込む
・誤解したまま作業を進める
・成長の節目を逃す
といった悪循環が起きやすくなります。
一方で、心理的安全性の高い職場では、「分からない」点を早期に解消しやすく、結果として業務理解が深まり、成長実感につながるというプラスの循環が生まれやすくなります。
●まとめ:心理安全性は「90日離職」を防ぐ最も即効性のある施策
最新の国内データを総合すると、離職率の多くが「初期の人間関係に対する不安」と強く結びついていることが明らかになっています。
したがって、心理的安全性の土台が整うことで、質問のしやすさやミスの共有、成長実感の早期醸成といった好循環が生まれ、入社後 90 日間における離職リスクを大幅に低減することが可能となります。
第5章 まとめ──入社後90日までを整えれば離職は防げる未来になる

入社後 90 日間は、これまで見てきたとおり、「続けるか、辞めるか」を最も左右する重要な期間です。
特に中小企業は、距離の近さや意思決定の速さといった強みを活かすことで、わずかな工夫でも定着率を大きく向上させることができます。
役割の明確化、短時間の 1on1、成功体験の設計、相談相手の一本化など、いずれも大掛かりな制度ではなく、すぐに着手できる取り組みです。
ここまで述べてきた内容は、いずれも「企業側が悪い」あるいは「若手社員が悪い」ということを指摘するものではありません。
確かに、職場において「こうしてもらえていれば状況が変わっていたかもしれない」と感じる点は数多く存在します。
・分からないことをもっと素直に伺っておけばよかった。
・辞める前に「もっとこうしてほしい」と伝えておけばよかった。
という自分自身の反省点も、多く存在しております。
したがって現在は、早期離職を「誰かの責任」と捉えるのではなく、企業と本人の双方が学び直すためのサインであると考えております。
採用がますます厳しくなる近年は「採用して終わり」の時代ではありません。
「採用後90日までをどう設計するか」が会社に人が残るかを決める最後の一手です。
とはいえ、オンボーディングの仕組みづくりや定着支援を自社だけで整備することは、決して容易ではありません。
役割設計や教育フロー、1on1 の運用など、専門的な視点が求められる場面も多く存在します。
\採用した人が「辞めない・育つ」組織づくりを一緒に/

こうした課題解決を「採用・育成戦略」の観点から支援を行っています。
「人が辞めない・人が育つ」仕組みづくりを、貴社の状況に合わせてご提案可能です。
本当に活躍し続ける組織へ
新たに入社した方が安心して働ける環境が整っていれば、自然と人が集まり、チームとしての成果も向上していきます。
今こそ、この期間を「人が育ち、定着するための最終重要フェーズ」として見つめ直す時期ではないでしょうか。
🔈「求人が来ない」
🔈「育て方が分からず、定着が安定しない」
🔈「オンボーディングの仕組みが整っていない」
もし、こうした課題を感じているようでしたら、ぜひ採用戦略研究所にご相談ください。
採用で出会えた人を、未来の戦力へ。
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